法律から見た“投資詐欺”の構造|なぜ泣き寝入りが多いのか

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こんにちは、49歳・自営業の父です。
FP2級・証券外務員1種・宅建士の資格を持っています。

これまで「知人の勧誘」「ネット広告・SNS勧誘」の危険性を取り上げてきました。
今回はもう一歩踏み込み、法律的な視点から“なぜ投資詐欺の被害者が救われにくいのか”を解説します。

詐欺と戦うには、感情論ではなく、法律の仕組みを理解することが必要です。


1. 投資詐欺の多くは「違法ではない」形で仕組まれている

まず誤解されやすいのが、
「詐欺=すべて違法で逮捕される」という思い込みです。

実際は、投資詐欺の多くは“法律の隙間”を突いたグレーゾーン行為です。

例えば──

  • 契約書は存在する(=形式上の合意)
  • 「投資ではなく事業参加」など名目を変える
  • 「元本保証」とは言っていない(暗黙の雰囲気)

こうした工夫により、警察も「民事トラブル」と判断しやすく、
刑事事件として立件できないケースが多いのです。


2. “民事と刑事の間”に落ちる現実

詐欺の被害に遭った人が警察に相談しても、こう言われることがあります。

「契約書があるなら、詐欺ではなく民事問題です。」

ここが非常に大きな壁。

刑法の「詐欺罪」が成立するには、
“最初からだます意図があった”ことを立証しなければなりません。

しかし、
相手が「事業がうまくいかなくなっただけ」「投資リスクは説明していた」と言えば、
刑事事件にはなりにくい。

結果として、被害者は民事裁判を起こすしかなくなります。


3. 民事裁判をしても“勝っても取り戻せない”現実

裁判を起こして勝ったとしても、
相手に返済能力がなければお金は戻ってきません。

実際のケースでは──

  • 相手が自己破産してしまう
  • 資金を海外に逃がして追跡不能
  • 会社を清算して別名で再登場

このように、「勝っても意味がない」ことが非常に多いのです。

法律的には「支払い義務あり」でも、
現実には「支払えるお金がない」──これが泣き寝入りの最大の理由です。


4. 投資詐欺がなくならない根本的な理由

投資詐欺が繰り返されるのは、
被害者が多いからではなく、儲かる仕組みが確立しているからです。

詐欺師たちは法律・心理・マーケティングに長けており、
次のような戦略を取ります👇

  • 法の抜け道を理解しておく(金融庁登録回避・資金移動)
  • 被害者の「欲望」と「恐怖」を操る
  • SNS広告で自動集客(合法風)
  • 問題が出たら法人を畳んで別会社に移行

つまり、ビジネスモデルとして成立してしまっているのです。


5. 日本の法律では“お金を預ける側が弱い”

日本の金融関連法では、投資契約における「自己責任」が非常に重視されます。

そのため、

「自分の意思で契約した」=「同意した」
とみなされてしまうケースが多いのです。

一方で、
お金を受け取った側(企業や個人)は、破産・倒産すれば債務ゼロ。
つまり、リスクは預けた側だけが背負う構造です。


6. “守られるお金”と“守られないお金”の違い

ここで一度整理しましょう👇

種類資金の扱い法的保護
預金(銀行)預金保険機構で1,000万円まで保護三菱UFJ銀行など
証券口座(株・投信)分別管理・投資者保護基金SBI証券、楽天証券
保険商品保険契約者保護機構日本生命、アフラックなど
海外業者・個人投資法的保護なし×海外FX、個人投資案件など

つまり、
「法で守られている場所」に資金を置くことが、最大の防御策です。


7. 投資詐欺の被害を防ぐ3つの鉄則

1️⃣ 金融庁登録業者以外にお金を預けない
 → 登録番号を必ず検索(金融庁 登録一覧

2️⃣ 「元本保証」「毎月配当」を信じない
 → この2語は、金融商品取引法で禁止されています。

3️⃣ “話がうますぎる”と思ったら一晩寝かせる
 → 投資はスピードよりも冷静さ。焦ると判断力を失います。


8. 実際に相談を受けたケース(実話ベース)

私が相談を受けたケースで、印象的だった例があります。

40代男性、知人の紹介で知り合った“投資家”に誘われ、
「トレードで月利10%」という話に100万円を投資。

半年後に投資家が突然消え、運営会社も連絡不能。
警察に相談するも「民事事件」として扱われ、返金はゼロ。

最終的に残ったのは、
「なぜ自分は信じてしまったのか」という後悔だけでした。


9. 「詐欺は他人事」ではない

投資詐欺に遭う人は、
決して“お金に無知な人”ではありません。

むしろ、

  • 行動力がある
  • 向上心がある
  • 家族を守りたいと思っている

──そんな前向きな人ほど狙われやすい

詐欺師は「人の善意」に入り込み、そこから信頼を奪います。
だからこそ、知識と冷静さが最大の防御になります。


10. まとめ|“儲かる話”より“守れる仕組み”を選ぶ

投資の世界で最も大切なのは、
「いかに増やすか」ではなく「いかに守るか」です。

・法で守られる金融機関を使う
・登録番号を確認する
・感情ではなくデータで判断する

これを習慣にするだけで、
あなたのお金は詐欺から確実に遠ざかります。


💬 今日のひとこと
「投資の勝者は、“騙されなかった人”でもある。」