投資詐欺の現実|“儲かる話”があなたを狙う理由

こんにちは、
FP2級・証券外務員1種・宅建士の資格を持つ49歳の自営業者です。
私はこれまで、知人・仕事仲間・セミナー参加者など、さまざまな場面で“投資トラブル”を見てきました。
その中で痛感したのは──
「詐欺に引っかかる人は、決して“お金に疎い人”ではない」
ということです。
むしろ、真面目で責任感があり、家族や将来を思う“普通の人”ほど狙われる。
それが現代の投資詐欺の怖さです。
今回は、“儲かる話”がどうやってあなたを狙い、
どんな心理を突いてくるのかを、実例を交えながら解説します。
1. 投資詐欺の入り口は「信頼」から始まる
昔の詐欺は“怪しい電話”でした。
しかし今はSNS、知人、交流会など、“信頼関係”から始まります。
勧誘の入り口は、次の4パターンです👇
1️⃣ SNS(X・Instagram・YouTube)
→ 「副業で月10万円」「AI自動運用で放置OK」といった投稿からDM勧誘。
2️⃣ 知人・友人から
→ 「自分もやってるから安心」「一緒にやらない?」という言葉。
3️⃣ 交流会・オンラインサロン
→ “投資家コミュニティ”や“資産形成セミナー”を名目にした勧誘。
4️⃣ ネット広告・LPページ
→ 「大手メディア掲載」「○○監修」といった“権威付け”で信頼を演出。
共通しているのは、
「最初からお金の話をしない」こと。
まずは仲良くなり、信頼を得てから、
限定の話、紹介制、今だけといった言葉で感情を揺さぶってきます。
2. なぜ日本人は投資詐欺に狙われやすいのか
実は、日本は“投資詐欺が成功しやすい国”です。
その理由は大きく3つ。
① お金の話を「避ける文化」
学校でも家庭でも、「お金の話=下品」とされてきました。
そのため、投資の基礎知識が乏しい人が多く、
“うまい話”を見抜けないまま信じてしまうのです。
② 「信頼関係」を重視しすぎる
日本人は「人を疑うのは悪」と思いがち。
そのため、知人や友人の紹介には警戒心が下がります。
③ 「みんながやってる」に弱い
「○○さんもやってる」「あの会社も参加してる」
と聞くと安心してしまう。
これも、詐欺師が最も利用する心理です。
3. 典型的な“儲かる話”の手口
あなたの周りでも、こんな言葉を聞いたことはありませんか?
- 「元本保証で月5%の配当」
- 「AIが自動で稼ぐから放置OK」
- 「有名人も関わってる」
- 「初期メンバー限定」
- 「今すぐ始めないと枠が埋まる」
これらはすべて、心理操作のテンプレートです。
「不安」と「期待」を同時に刺激することで、
冷静な判断を奪うのです。
4. 投資詐欺が成立する“構造”
投資詐欺は、仕組みとして非常にシンプルです。
- まず投資家(あなた)から資金を集める
- その一部を“配当”として最初の数ヶ月だけ支払う
- 残りの資金を別口座や海外に逃がす
- ある日突然連絡が取れなくなる
つまり、最初の配当で信用を得るのです。
「ちゃんと配当が出てる」「本当に稼げる」と思わせたタイミングで、
「もっと投資しませんか?」と誘導される。
そして、十分な資金が集まったところで破綻。
後に残るのは「連絡のつかないLINE」と「口座履歴のない送金記録」だけ。
5. 法律上も“被害回収がほぼ不可能”な理由
ここがもっとも重要です。
日本では「お金を借りた側」が強い。
会社が倒産すれば、債務ゼロ。
個人であっても、自己破産をすれば借金は帳消しになります。
つまり──
たとえ騙されたとわかっても、
破産すれば相手は法的に“責任を免れる”のです。
弁護士に相談しても、破産管財人が資金を見つけられなければ返金ゼロ。
実際には、詐欺的に資金を動かしたケースでは、資金が海外送金・仮想通貨化・第三者口座などに移されており、実質的な回収はほぼ不可能です。
この構造を理解していない人が、「きっと戻ってくる」と期待してしまうのです。
6. “合法風”に見せる巧妙な詐欺
最近の詐欺は、
あからさまな違法行為ではなく“合法風”に設計されています。
・会社登記をしている(実体のないペーパーカンパニー)
・監査法人の名前を使う(架空または無関係)
・海外の取引所と提携(実際は存在しない)
こうした仕掛けは、ネット上ではすぐに信用されます。
「株式会社だから安心」
「金融庁に登録されてるらしい」
──この“らしい”が一番危険です。
7. 詐欺に狙われやすい人の3つの特徴
1️⃣ 「自分は大丈夫」と思っている人
→ 詐欺の被害者の8割が“自信があった人”です。
2️⃣ “人の話を聞くのが苦手な人”
→ 「よくわからないけど、信頼してるから」と思考停止する。
3️⃣ お金に焦りを感じている人
→ 「老後資金」「子どもの教育費」など、不安がある人ほど狙われます。
8. 騙されないための「3つの鉄則」
① “儲かる”より“守られる”を選ぶ
→ 元本保証・高配当は、基本的に存在しません。
② 「お金を預ける場所」が法律で守られているか確認する
→ 銀行・証券会社・東証上場企業以外は、資金保全が保証されません。
③ 契約書・運用報告書・金融庁登録番号を自分で確認する
→ 「信頼できる人が言ってた」は理由になりません。
9. まとめ:「信用」は“人”ではなく“制度”で守る
多くの人は「誰から言われたか」で判断します。
でも本当に大事なのは、
「どんな制度に守られているか」です。
制度の外で行われる投資には、
どんなに“良い人”が関わっていても、法的な保証はありません。
“儲かる話”はあなたを狙うためのエサ。
あなたの善意・不安・希望すべてを利用して近づいてきます。
💬 今日のひとこと
「信頼できる人より、“信頼できる制度”を信じよう。」







ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません